中京大中京・畔柳亨丞の投球を指揮官も称賛。中日ドラ1の高橋宏斗と「遜色ない」 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 専大松戸戦でとくに「則本らしさ」を感じさせたのは、ピンチでの投球だった。1回表に二死一、二塁。2回表に二死三塁。5回表に一死二塁と得点圏に走者を背負ったが、ことごとくコーナーへピンポイントにボールを集めて切り抜けた。

 畔柳は昨夏に開催された甲子園交流試合・智辯学園(奈良)戦での高橋の投球がヒントになったと語る。

「宏斗さんのピンチでのギアの上げ方を間近で見ていたので、今日はピンチでしっかり抑えられてよかったです」

 圧巻だったのは、6回表二死から連打を浴びて一、三塁とされた場面。壮絶な投手戦を演じていた深沢鳳介を打席に迎え、畔柳のギアはフルスロットルになる。アウトコース低めギリギリに速球を2球続けて2ストライクを奪うと、最後は外角に外れるボール球を振らせてファーストゴロに。畔柳は「三振を狙っていた」そうだが、まさに手も足も出ないような投球だった。

 昨秋の時点で、高橋監督は高橋宏斗と畔柳を比較してこう評していた。

「2年秋の時点では畔柳のほうがストレートは速く、ボールの強さもあります。でも、トータルで見たら高橋の2年時のほうが上だと思います」

 ひと冬越えて甲子園に現れた畔柳は「トータル」の高さも見せた。立ち上がりにボールが上ずると、「フォームのバランスが悪かったので」と早々に左足を高く上げるフォームからクイックモーションに切り替え修正した。

 投手として確かな成長を見せる畔柳について、高橋監督にあらためて3年春時点での評価をしてもらった。

「高橋とはタイプが違い、畔柳は力投派なのでどちらが上とは言えませんが、要所で力を発揮できる点はエースとしてすごく重要だと感じます。もはや高橋と遜色ないと言っていいと思います」

常総のエースが母校監督になり34年ぶり甲子園。センバツでも強運発揮か>>

 まずは初戦を2対0で突破したものの、中京大中京は日程的に不利な状況にある。専大松戸とともに出場32チームの大トリとして登場したため、次戦は中1日で3月27日(第3試合・常総学院戦)に組まれている。畔柳は専大松戸戦で131球を投げただけに、疲労が心配される。2回戦を突破しても、準々決勝は翌28日、準決勝以降は中1日ずつという過密日程である。

 技巧派左腕の柴田青ら投手陣全体の奮闘は不可欠ながら、要所は大黒柱の出来がカギになるのは間違いないだろう。

 畔柳亨丞はこの春にどこまで成長を見せつけるのか。スキがなくなりつつある力投派のマウンド姿には、今や凄味が滲んでいる。

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