2021.03.25

圧倒的な戦力差も東海大菅生と大接戦。聖カタリナ監督が語った勝敗を分けた「差」

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Kyodo News

 戦力的には東海大菅生が圧倒的に有利だった。しかし、聖カタリナのエースである櫻井頼之介も、スライダーに絶対的な自信を持つ好投手。170cm、58kgと小柄だが、ストレートの最速は145キロ。愛媛大会、四国大会では、キレのいいスライダーで三振の山を築いてきた。そして四番に座る川口は、昨秋の公式戦8試合で打率.440、8打点を記録したスラッガーだ。

 東海大菅生に対抗できるとすれば、「エースが抑えて四番が打つ」という展開になった時だけ。そうならないと、大敗もありうると考えていた。

 東海大菅生は、左肩に違和感を覚えた本田が登板を回避し、先発マウンドには背番号11の鈴木泰成が上がった。しかし、聖カタリナはなかなかチャンスの糸口をつかめない。一方で櫻井は、2回裏にソロホームラン、3回にはツーランホームランを許して主導権を奪われてしまった。

「櫻井くんのスライダーがすばらしいから、ストレートを狙っていては打てない。だから『スライダーを狙え』と言った。スライダーを打ってしまえば投げる球がなくなるだろうから」という東海大菅生・若林弘泰監督の作戦が当たった。

 3回が終わったところで0対3。川口が2回にチーム初ヒットを放ったが、エース自慢のスライダーを2本もスタンドに放り込まれ、打線はヒットを打てない。苦しい展開の中で、聖カタリナの越智良平監督は選手たちにこう言った。

「ここまでは相手のペースだけど、我慢すればこちらの流れに持ち込めるはず。強い気持ちで戦おう」

 聖カタリナが反撃に転じたのは7回。ツーアウト一塁から九番・足達遥都のライト前ヒットでチャンスを広げ、パスボールで1点を返した。

 1対4で迎えた9回表に最大の山場が訪れた。2本のヒットと四死球でチャンスを作り、相手のバッテリーエラーと犠牲フライで1点差。ツーアウト満塁で打席に立ったのが四番の川口だった。だが、打球は力なく転がり、初めての甲子園が終わった。