廣畑敦也は若獅子賞の活躍でドラ1候補へ。武器は最速154キロの直球と強心臓

  • 寺下友徳●取材・文 text by Terashita Tomonori
  • Photo by Terashita Tomonori

 本人に都市対抗の後日談を聞くと......。

「試合中は『思い切って投げるしかない』と思っていたので緊張はなかったですね。(12月3日・決勝戦後の表彰式で)若獅子賞の連絡を受けたのも、(23歳の)誕生日に業務をしていた午後に突然、『これから東京に行けるか?』という感じでした(笑)。むしろその後、三菱自動車本社で加藤(隆雄)CEOからお祝いの言葉を直接頂いたほうが緊張しました。だって一介の社員が最高執行責任者にお会いできることなんて、まずないですから」

 この強心臓も「エグイ右腕」の真骨頂である。

【自分の考えを着実に形にする力】

 こうして迎えたドラフト解禁年。首藤章太監督や投手担当の永峯康政コーチが「考えてやっているし、心配していない」と明言する以上に、廣畑自身は「昨年は(コロナ禍の影響で)半年しか野球をしていないので、今年は都市対抗のようなパフォーマンスを1年間安定して出す」べく、多くのスポーツ選手が陥りやすい調子のいい時をどんな時も追いかけてしまう落とし穴にはまらないための対応力を鍛えるアプローチに着手している。

 一例を挙げれば、社会人野球、国際試合でも決められているイニング間のベンチ前キャッチボール禁止への対応。ベンチではジャンプやもも上げで下半身が固まらないように工夫し、最善策を練っている。また、昨年よりやや左肩が上がりがちになっているフォームの変化も「その時の状態に身体が反応すればいい」とあえて意に介していない。

 冒頭に記した『コーヒースペシャリスト』資格取得も、「好きを形にしたいと思っていたなかでそのような資格があった」と言う。廣畑にとっては自分の考えや欲を形にするための必然の行動だった。

コーヒー好きが高じて、『コーヒースペシャリスト』の資格を獲得した(写真=本人提供)コーヒー好きが高じて、『コーヒースペシャリスト』の資格を獲得した(写真=本人提供)

2 / 3

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る