野球部に残る女子マネへの偏見。選手との会話で感じた男女平等への課題 (2ページ目)

  • 樫本ゆき●取材・文 text by Yuki Kashimoto

 学生委員の小栁あい花さん(専修大学・新4年)はソフトボールで、桐朋女子高時代に全国大会出場の経験を持つ。高校時代と同じく「短時間練習」で結果を出すことのやりがいを求め、準硬式野球を選んだ。現在女子マネージャーを務めるが、「裏方」だけで4年間を終わらせるつもりはない。「選手と同じように野球で自分を成長させたい!」と明るく宣言する。

「言われたことをただやればいいという受け身な女子マネージャーではなくて、1歩先に成長したい。部のスケジュール管理に自分も参加し、Googleアカウントを新設して事務的な仕事を監督やスタッフに共有したり、スプレッドシートでタスクの進捗状況を可視化したり。今まであった女子マネージャーの『当たり前の仕事』をより効率よく、質を高めてやりたい。自分からガンガン成長しにいっている感じです!」

 同学生委員の渡邊ももさん(立教大学・新4年)も同じだ。静岡・桐陽高時代、女子マネージャーをしながら豪州留学を経験し「裏方だけでは終わらない女子マネ像」を構想してきた。準硬式野球を選んだ理由は「社会性を身につけられるアルバイトが許可されていて、硬式と同じくらい真剣に野球ができる場だと感じたから」。その「真剣さ」について、先日こんな経験をし「男女平等」を深く考えたそうだ。

 就職活動で部活を休むことが増え、男子部員に「ごめんね」と伝えた。するとその部員は「なんで謝るの? 手伝ってもらっているのはこっちなのに...」と言い、そのあとの言葉を飲みこんだ。そのとき渡邊さんは少なからずショックを受けたと言う。「これは推測も含まれていますが」と前置きしたうえで、渡邊さんはこう続けた。

「自分では誇りを持ってやっているのに『手伝ってもらっている』と思われていることに少しだけ違和感を感じました。その選手もハッと気づいて言い直そうとしていたので、余計に気をつかわせているんだな、って。これが選手の持つ女子マネ像の潜在意識なのでしょう」

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