中日ドラ1と互角の投げ合い。智弁学園のエースが進化して再び甲子園へ (3ページ目)

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 試合でも、それまでは感情がすぐ出ていたが、近畿大会では指揮官が「大人のピッチング」と評する冷静なピッチングを披露。決勝の大阪桐蔭戦では、力勝負で向かっていっても太刀打ちできない相手だと判断し、「ストレートはしっかり振ってくるので、真ん中から高めを意識して、あえて打たせるようにしました」と狙いどおりのピッチングで強力打線を翻弄。9安打は許したが、27個のアウトのうち17個をフライアウトに仕留め、3失点完投勝利で近畿大会を制した。

 勝てるピッチングで近畿王者となったが、自己評価は厳しい。

「課題である集中力や気持ちのコントロールはまだまだです。それ以上に、この秋は初戦、初回の入り方の難しさを思い知らされました。ストレートの質を含め、すべてを変えていかないと......フォームも見直しながら、伸びやキレを意識して投げていきたいです」

 そしてこうも続けた。

「『あの試合(中京大中京戦)はよかったのに』って言われたくないんです。昨年秋は1試合を2点以内に抑えた試合がほとんどなくて、納得できる試合はありませんでした。勝てる投手が目標ですが、球質を上げていくなかでコントロールも磨いて、内容にもこだわっていきたいです」

 近畿大会優勝で今春開催されるセンバツ大会の出場は確実だ。ひと冬越えて、世代最強投手と投げ合ったあの舞台で、西村はどんなピッチングを見せてくれるのか。今から楽しみでならない。

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