高校・大学と野球部に所属せず。異色経歴の独立リーガーがNPBを目指す (2ページ目)

  • 大友良行●文 text by Ohtomo Yoshiyuki
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今シーズンは6試合に出場し、8打数2安打、2打点。それでも練習生では出なかった給料をもらえるようになり、「今まではアルバイトをしながらでしたが、同じ環境のもとで給料が出るというのは大きいです」と喜んだ。

 そんな根本だったが、喜びもつかの間、オフに入った11月に突然「自由契約」を言い渡された。

「あらためて振り返ってみたら、とにかく野球がやりたかった。不安はありましたが、後悔したくなかったのでチャレンジしてみました。上(NPB)に行ければいいと思っていたが、そんなに甘くない世界です。今後は自分自身と日々相談しながら、他球団のトライアウトなどを受けるつもりです。自分の挑戦は、似たような境遇にある選手に門戸を開くことができたのではないかと思っています。これからも努力して、もっと成長していければと思っています」

 一方、杉浦は神奈川県相模原市出身で中央大学に通う大学生。中学2年でヒジ、3年で肩を痛めて投手を断念し、二塁手としてプレーしていたが、麻溝台高校に進学するとバドミントン部に所属。県大会にも出場する実力の持ち主だった。

 大学では軟式の草野球チームに入り、球速が出にくい軟式球で140キロを記録。仲間からBCリーグのトライアウトを薦められると、硬式球で150キロをマークして一躍注目を浴び、BC神奈川からドラフト指名を受けた。大学には休学届を出し入団した。

 身長182センチの大型右腕で、得意球はストレートと高速スライダー。ほかにもカットボール、ツーシームも投げる。動画サイトなどを参考に独学で研究し、自室に人工芝を敷いてピッチングフォームを固めてきた。

 今シーズンは12試合に登板し、うち2試合が先発だったが、計13回2/3を投げて被安打12、与四死球22、失点13、自責点11、防御率7.24と散々な結果に終わってしまった。それでも奪三振は10を記録した。

「こんなものかと思いました。ゾーン内で打者と勝負していないというより、まだその域に達していない。制球力がないのでストライクが入らない。だけど三振もそれなりに取れたので、ストライクゾーンに投げ込めば甘い球でもそんなに打たれないことがわかりました。

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