ドラフト漏れも揺るがない思い。NTT西日本・宅和は東京ドームで恩を返す (5ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Inoue Kota

 成長した姿を披露する機会に恵まれた1年だったとは言いがたい。それでも、最大限のアピールはできた。そう自負して、10月26日のドラフト会議を迎えたが、宅和の名前が読み上げられることはなかった。

「たとえ下位でも何としてでもプロに行きたいと思っていたんですが......。自分の指名漏れだけでなく、(上位候補との報道もあった)大江克哉ら、ほかのチームメイトも呼ばれなかったことが本当に悔しかったです」

 しかし、都市対抗本大会に臨む熱い思いは一切揺るがない。

「この1年、苦しい社会情勢のなかでも、会社や地域の方々は自分たち野球部に温かい声援を送り続けてくださいました。『ドラフト指名選手として、東京ドームに立つ』という最高の形にはできませんでしたが、その思いに応える大会にしたいと思っています。夏につくらせてもらった動画で、社会人野球や自分を知ってくれた人たちもいる。応援していただいている方々への恩返し、社会人野球全体を盛り上げる投球ができるよう、全力で頑張ります」

 幾多の縁に恵まれたことで紡がれた野球人生への感謝と、遅咲きの選手に希望を与える使命を胸に、社会人最高峰の舞台で左腕を振る。

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