2020.11.23

ドラフト漏れも揺るがない思い。
NTT西日本・宅和は東京ドームで恩を返す

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Inoue Kota

 高校球児を思い、思考を巡らせた。思いついたのが、自身と同じく島根県内の高校出身で、現在社会人野球でプレーしている選手たちで、メッセージ動画を作成することだった。

「今の自分の立場で高校球児たちにできることを考えた時、思いついたのが動画でエールを送ることでした。その考えが浮かんですぐに、島根の高校出身で、年齢が近いニチダイの山下真史さん(立正大淞南高出身)、トヨタ自動車の村川翔太さん(浜田高出身)に相談させていただきました。『いいと思う』というあと押しと協力もいただいて、動画の作成を決めたんです」

 動画は各選手がメッセージを述べたあと、キャッチボールでつなぐ形で進んでいく。「少しでも身近に感じて、親近感をもってもらえるように」と、1人目を最年少のJR東日本所属の佐々木亮(情報科学高出身)にするなど、随所に工夫を凝らした。

「それぞれの思いを伝えると同時に、少しでも社会人野球を近い存在だと感じてほしいとも思っていました。高校最後の夏に甲子園を目指して戦えなかった分、その悔しさを大学、社会人で野球を続けるきっかけにしてほしい。その思いも込めました」

アマ球界の名将となった元近鉄戦士の指導法>>

 自身のSNSアカウントで動画を公開すると、島根県内はもとより、他県の高校球児やその保護者たちから「勇気づけられました」と感謝のメッセージが届いた。なかには野球以外のスポーツに打ち込む高校3年生からのメッセージもあったという。

「多くの方々に見ていただけて、本当にやってよかったと感じています。立ち上げから協力していただいた山下さん、村川さん、実際に登場していただいた選手の方々だけでなく、スケジュールの都合で動画には出られなかったものの、高校球児を思う選手がたくさんいました。自分なりに社会人野球を盛り上げられないかと、ずっと考えていて、ひとつ形にできたことは自信になりました」

"本業"でも力を発揮した。都市対抗出場を目指すチームにとっても、悲願のドラフト指名を目指す自分にとっても重要となる9月の都市対抗予選では、近畿地区2次予選4試合中3試合に登板。昨年の指名漏れからテーマに挙げていた「左打者のインコースを攻め切る」投球を貫き、近畿地区第1代表での本大会出場に貢献した。