巨人・原監督の流儀も吸収。アマ球界の名将となった元近鉄戦士の指導法 (2ページ目)

  • 木村公一●文 text by Kimura Koichi
  • photo by Sportiva

── 具体的に言うと?

「まず田澤のような選手がいる時でないと、優勝のチャンスって簡単に訪れません。いかに頭抜けた選手を軸にまとまっていくか。田澤ひとりでは優勝できませんからね。そのことを本人もほかのメンバーもしっかり自覚させることが大事です。

 一方で、頭抜けた選手がいなかったら勝てないではダメで、いなくてもチーム力を高めるにはどうすべきかを考える。たとえば、都市対抗で地区予選、本戦で5試合戦うとすると、エースで1、2試合は勝てるけど、先発完投できる2番手が必要になる。とはいえ、これがなかなか難しい。そこで1イニングやワンポイントといった投手が絶対必要になってきます。そうした投手たちをうまく使いながら5試合を戦っていかなければいけません。これは僕の持論というよりは、社会人チームに浸透した考え方ですけどね」

── ENEOSの場合は、歴史も伝統もあり「強いチームをつくって頑張りました」では済まされないわけですよね。そのためには、まず優勝を念頭に置き、逆算して勝てるチームづくりをしなくてはいけないと?

「まさに逆算です。常にそこ(優勝)を求められますからね。結論からいえば、一気に強いチームができるわけではなく、まずは僕という監督を理解してもらって、そこから選手たちに成長してもらうというか。たとえば、今季のシーズン始めのミーティングでは、こうしたことを選手に伝えたんです」

 以下が、大久保監督が選手たちに伝えたことだ。

・個人の目標を明確にする。そしてチームの目標とのWゴール
・価値観、倫理観の共有
・共通の目標、目的意識
・5試合、2週間を戦うための体力、気力
・短期間での最大出力、集中力を発揮する

 そのうえで、こうした具体的なことも語られた。

・軸になる投手、野手の必要性。中継ぎ、抑えのスペシャリストの確立
・代打、代走、守備固め要員の重要性
・ベストナインを3人輩出するには?

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る