ドラフト指名漏れから2年。愛知の快腕・栗林は社会人No.1投手に成長した (3ページ目)

  • 大友良行●文 text by Ohtomo Yoshiyuki
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 トヨタ自動車の藤原航平監督は、栗林をどう見ているのだろうか。

「東海地区はそう簡単には勝たせてくれません。投手のできが大事になってくると考えています。今年の都市対抗予選に関しては、初戦の東邦ガス戦で栗林が期待以上のピッチングをしてくれました。柱がしっかり投げてくれたことで、チームに勢いが出た。

 昨年から佐竹功年、川尻一旗のベテランに頼ってばかりではいけないということで、このふたりをリリーフに回して、若い投手を先発に持ってくることにしました。そこで2年目の栗林を先発に回しました。入社当初から強心臓で、大舞台でも平然と投げられるのが心強い。今年は栗林がどうかでチームに影響が出るほど存在感は大きくなっています」

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 2年前の自分と比べて、いま栗林自身はどう思っているのか。

「全体的にレベルアップしていると感じています。大学時に比べると、球の質や投げっぷりはよくなっているはずです。なにより、野球に対する取り組みが変わりました。大学の時は正直、野球をやれることに心から喜びを感じていなかった。今は会社の方たちがものすごく応援してくれていて......その人たちのためにも恩返ししたいという気持ちで練習するようになりました。

 目指すところは、プロに入って活躍できる選手になることです。巨人の菅野(智之)投手やヤンキースの田中(将大)投手のように、大事な試合で勝てる投手になりたいです」

 目の前に迫ったドラフトを栗林はどんな心境で待っているのだろうか。

「2年前のようなドキドキ感、ワクワク感はまったくないです。今年に関しては都市対抗で優勝するためにやってきました。もちろん、ドラフトは自分の人生を大きく変えますし、球団が決定すれば安心感は出ると思いますが、とにかく今は都市対抗に優勝することしか考えていません」

 10月26日にドラフト会議が開催されるが、栗林には11月22日に開幕する都市対抗しか眼中にないようだ。そのためにも、まずは2年前の悔しさを晴らすべく、1位指名でのプロ入りを目指す。

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