指揮官もホレたフルスイング。九州のアルトゥーベは何位で指名か? (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 中学時代には全国大会に出場し、県内外の有力校から声をかけられたが、「普通の県立高校で強いチームを倒したい」と前原へ。九州の名門・九州共立大では1年時からレギュラーとして活躍している。

 誰かにスイングを教わったわけではない。「体が前にいくと強いスイングができない」と悟り、頭を残してバットを大きく振り抜く「ステイバック」の形に行き着いた。後年になってさまざまな強打者の動画を見るなかで、「自分と同じ形だ」と気づいたという。

「体は小さくても、スイングスピードは誰にも負けたくない」

 その一心で、ひたすらバットを振り込んできた。

 ここまで大学通算16本塁打。さらに2年春にはリーグ戦11盗塁をマークするなど、50メートル走6秒フラットの俊足もある。

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 大学で足が速くなったという平良に、その要因を聞くと、「体重が増えたら勝手に速くなりました」という答えが返ってきた。普通は体重が増えれば、かえって足は遅くなるのではないか。そう確認すると、平良は真顔でこう述べた。

「卵と豆腐を毎日食べたら体が強くなって、足が速くなったんです」

 そして平良は、豆腐の選び方について力説するのだった。

「いや、ものによって全然違うんですよ。成分表示の『たんぱく質』の量を見て、一番いいやつを買います。0.5グラムくらい違いますから」

 筋力トレーニングと、日頃のたんぱく質摂取によって筋力がアップしたため、足が速くなった......と平良は言いたかったのだろう。

 また、平良を評する上でネックになっていた守備力も、冬場に基礎的な訓練を積んだことで向上。3年までは一塁手中心だったが、現在は二塁に固定されている。派手さはないものの、足を使って正面に入る基本に忠実なフィールディングだ。平良は「ファインプレーはいらないので、飛んできた打球を確実にさばくことを考えています」と語る。

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