一芸でプロ入りを目指す隠れた逸材たち。大化けの夢が広がる6選手 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 その独特の感性が感じられたのは、変則投手への対応に話が及んだときだった。関は「変則ピッチャーと対戦する時はフォームを見ない」と語った。

「変則ピッチャーはフォームで崩されるので。だったらフォームよりボールを見て、体が前に突っ込まないようにする。ボールはどのピッチャーが投げても一緒なので」

 大学4年の主力にもかかわらず、1年時から背番号36をつけ続ける。「変えるのが好きじゃないし、36で覚えてくれている人もいるのでいいかな」と、いかにも職人肌の雰囲気がある。とはいえ、ウェアはすべて1年時のサイズのため、肉体的にたくましくなった今は「みんなちっちゃいです」と笑う。

 プロで成功するイメージは「右の清水隆行(元巨人ほか)」。独特の感性がプロの世界で花開くのか、見てみたい。

 ふたり目は関と同じ神奈川大学リーグの渡部健人(桐蔭横浜大)というスラッガー。身長175センチ、体重113キロという体軀ながら、身のこなしは軽やかでヒザ関節を痛めた経験もないという。

「自分の場合は強く振るとスイングが弱くなるので、力を抜いて振ったほうがスイングスピードは上がるんです」

 本人がそう語るように、強振するというより、ふわりと柔らかく運んで飛ばすタイプ。中村剛也(西武)に近い系譜だろう。

 だが、高い能力とは裏腹に、春のオープン戦では結果が出ず、桐蔭横浜大の齊藤博久監督も「まだ素材段階なので、渡部を育てられる自信を持った球団じゃないと指名は厳しいかもしれない」と見通しを語っていた。

 ところが、秋のリーグ戦が始まるとその打棒が大爆発。8試合で7本塁打(10月11日現在)の固め打ちで猛アピールをしている。右のスラッガーは希少なだけに、渡部の需要は高まるかもしれない。

 3人目と4人目は足の速い「韋駄天」のふたり。俊足の選手は体にキレがあり、攻守ともプロのスピードに順応しやすい傾向がある。その意味で注目したいのが並木秀尊(ひでたか/獨協大)と奥野翔琉(かける/明徳義塾)だ。

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