東北のドラフト候補右腕は元遊撃手。国際派監督「こんなに伸びた子は初めて」 (3ページ目)

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu
  • photo by Takagi Yu

 ところが、秋のリーグ戦が決まっても全体練習や対外試合の許可がおりず、解禁になったのはリーグ戦前日。ぶっつけ本番で挑んだが、開幕週に血マメができるアクシデントに見舞われ、3周目には肩甲骨に違和感を覚えるなど本来の投球ができず、チームも2敗を喫した。

 最終週の東日本国際大戦は優勝に向けてもう1敗も許されないなか、1回戦から気迫の投球を見せた。

「マウンド傾斜が低く、なかなか合いませんでした」と球速は140キロ台前半がほとんどだったが、それでもこの大一番に向けて隠していたというカーブを有効に使い好投。中盤のピンチでは一気にギアを上げ、この日最速となる146キロのストレートを投じるなど、7回を4安打1失点7奪三振でチームに勝利をもたらした。

山本昌がドラフト候補の高校生9投手を診断>>

 だが、翌日の2回戦では6回から登板して2失点。逆転負けを喫し、優勝を逃す結果になったが、横田監督は「想像以上に成長してくれました」と赤上をねぎらい、こう続けた。

「こんなに伸びた子は初めてです。理解力があって、理屈っぽくなく素直です。聞く耳がある一方で、自分というものもしっかり持っている。次のステップでは力を出し切って、活躍してもらいたいです」

 入学時には想像もしなかった運命の時が、刻一刻と迫っている。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る