来年のドラフトは大豊作? 元スーパー小学生ら高校野球大物投手が成長中 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 中学時代から森木と互いにライバル視し合い、現在も交流を続けているのが仙台育英の笹倉世凪(せな)、伊藤樹の左右二枚看板である。ふたりは仙台育英の系列校である秀光中等教育学校で夏の全中決勝まで勝ち進み、森木に投げ負けている。

 ともに1年夏から甲子園を経験し、左腕の笹倉は最速149キロ、右腕の伊藤は最速147キロと球速を伸ばしている。3年生に向坂優太郎という好左腕がいたためエースには届かなかったが、大事な試合を任されるであろう今秋以降に真価が問われる。

 また、中学軟式出身で華々しい実績は挙げていないものの、底知れないポテンシャルを見せていたのが高須大雅(静岡)だ。磐田東中では身長183センチだった身長は現在190センチまで伸び、マウンドでの立ち姿からして雰囲気がある。中学時代にはタテに大きく曲がるカーブを武器にしていた。高校でも順調にステップを踏んでおり、楽しみな存在だ。

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 今夏の独自大会で爆発的なパフォーマンスを見せた風間球打(ノースアジア大明桜)、小園健太(市和歌山)は早くも「ドラフト1位クラス」というスカウトの声も聞こえてくる。

 風間はプロ志望届を提出した佐々木湧生ら、最速140キロ超の3年生3投手を差し置いて素材はチームナンバーワンと評判だった。秋田独自大会では破壊力満点の腕の叩きから最速150キロを計測し、タテに鋭く落ちるスライダーでも奪三振を量産した。名投手コーチとして知られた尾花高夫総監督の指導を受け、その才能に磨きをかけている。

 小園も1年時から評判だった能力が冬を越して凄みを増してきた。夏までに最速152キロに到達して、速球の軌道から小さく変化するカットボールも高い精度で操る。和歌山独自大会では、智辯和歌山戦で好リリーフを見せた。今秋以降にエースとして順調に実績を積み上げていけば、来年のドラフト1位候補に浮上する可能性は高いだろう。

 前述の通り、今夏は3年生中心にチームを編成するチームが多かったため、下級生の逸材が潜伏しているケースは多い。現段階では他にも金井慎之介(横浜)、鴨打瑛二(創成館)といった好左腕の評判を耳にする。

 コロナ禍によって来年の選抜高校野球大会などビッグイベントが開催できるのか、先行きの見えない時期が続く。それでも、新たな有望選手の台頭は未来への希望になる。これからも心躍る大器の出現を心待ちにしたい。

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