プロ注目の高校野球「2世選手」たち。偉大な父に匹敵する能力に期待 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今夏は父がチームの監督という、「親子鷹」の2世選手も目立った。代表例は、今秋のドラフト指名確実と目される左腕・高田琢登(静岡商)である。蒲原シニア時代にはシニア日本代表に選ばれ、県内外の強豪校から声をかけられる存在だったが、父・晋松が監督を務める静岡商に入学した。甲子園にはあと一歩届かなかったものの、最速148キロのスピン量の多いストレートを武器に全国区の左腕に成長した。

 2020年甲子園交流試合に出場したチームでは、星稜の林大陸、東海大相模の門馬功(2年)がいる。大陸は父・林和成監督の長男、功は父・門馬敬治監督の次男で、いずれも代打出場を果たしている。

 最後に2世ならぬ3世として注目される高嶋奨哉(智辯和歌山2年)を紹介したい。祖父は甲子園通算68勝の名将だった高嶋仁。今夏の甲子園交流試合では代打として登場し、祖父、父(茂雄)、奨哉と3代にわたって甲子園の土を踏んだ。

 本人にとっては不本意な注目のされ方に違いないが、当初は「渡辺元智監督(元・横浜高監督)の孫」として注目されながら、努力と実力で色眼鏡を吹き飛ばした渡邊佳明(楽天)の例もある。

 2世、3世として注目される弊害はそれぞれにあるだろう。だが、当然ながら偉大な親族から学べるというポジティブな一面もある。たとえプロ入りできなかったとしても、身内から受け継いだ真髄を誇りに、それぞれの野球人生を全うしてもらいたい。お節介な第三者として、痛切に願うばかりだ。

3 / 3

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る