甲子園で球児たちに聞いた「白スパイク」の効果。32校中14校が導入

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

「史上最悪の大誤審」。当事者が明かす大荒れ試合の記憶>>

 導入は、正解だったようだ。

 8月10日に開幕し、17日に閉幕した「2020年 甲子園高校野球交流試合」。今回、出場した32チーム中14チーム(明徳義塾、天理、創成館、平田、明豊、智弁学園、鹿児島城西、桐生第一、帯広農、健大高崎、日本航空石川、鶴岡東、大阪桐蔭、智弁和歌山)が今春から使用が許可された白スパイクを使用した。

甲子園で初めて白スパイクで登場した明徳義塾ナイン甲子園で初めて白スパイクで登場した明徳義塾ナイン 白スパイクとは、文字どおり白色のスパイクのことで、近年の猛暑による熱中症対策として昨年5月に高野連から使用可能のアナウンスが出された。

 甲子園で最初に白スパイクを履いたのは、大会初日の第2試合に登場した明徳義塾だった。導入の理由を馬淵史郎監督は「泥臭い明徳でも(スパイクを)白にしたらスマートに見えるやろ」と冗談を飛ばしたあと、こう言った。

「選手には好評ですよ。聞くと、『熱を感じない。履きやすい』と言うね。素材も違うのか、軽く感じるらしいですよ」

 白スパイクの効果については、スポーツメーカーのミズノから「表面温度は20度」「内部温度は10度」も低いという研究結果が発表されている。

 はたして、本当にそうなのか。

 実際に使用した球児たちに感想を聞くと、「あまり変わらない。気分だけです」(平田/黒田秦司)という意見もあったが、ほとんどが歓迎コメントだった。

「(中村良二)監督に『どっちにするか決めろ』と言われて、キャプテン中心に話し合って、白スパイクに決めました。白スパイクだと熱さが全然違います。足からの熱がないので、風が涼しく感じます。黒スパイクのときは、足がやけどみたいに水ぶくれになったこともありました。とくに人工芝の球場とかはきついですね」(天理/田中勝大)

「独自大会から使用しています。黒スパイクより熱くなりにくいので使いやすいです。軽くて動きやすい感じがします」(創成館/二日一涼介)

 練習時から白のスパイクを使用していた帯広農・前田愛都はこう言う。

「熱さが全然違います。黒スパイクは熱すぎて、攻撃中のベンチでときどき脱いでいました。白にしてからはしなくなりました。白スパイク、いいです」

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