スカウト「ここまで伸びるか!」。智弁和歌山・小林樹斗が自己最速を次々更新 (2ページ目)

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Sawai Fumi

 7月4日には明石商と練習試合が行なわれ、小林は6回から登板。昨年春のセンバツ準々決勝でサヨナラ本塁打を打たれた来田涼斗に対して、ファウルで粘られるも全球140キロ台後半のストレートで押し切り、ショートフライに打ち取った。

 今夏、和歌山の独自大会初戦の南部戦では、9回から登板し自己最速となる150キロをマーク。また、6月末に行なわれた中京大中京との練習試合で、相手エースの高橋宏斗から教わったというカットボールを短期間でマスターし、ピッチングの幅を広げた。

 そして県内最大のライバルである市和歌山との一戦では、6回からマウンドに立った。

「後半からいくと伝えられていたので、そこに向けて準備をしていました。ポイントになる打者が何人かいたので、その打者には力を入れて......4イニングのなかで力の出し入れを考えながら投げました。前回と同じく今日も7割くらいです」(小林)

 7球団10人のスカウト前で投じたストレートの最速は149キロ。アベレージでも140キロ台後半をマークした。ストレートで空振りを取るシーンは、昨年秋と比べて格段に増えた。

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 だが9回、先頭打者に四球を与え、連打で1点を失った。最後までゼロを並べられなかったことに、中谷監督は「普段しない入り方をしていた」と指摘した。小林はこう反省の弁を述べる。

「違う球種で『こういう入り方もあるんだぞ』というところを見せたかったけど、初球のカーブがうまく入らなくて感覚的に引っかかってしまいました。カーブ以外の球種はまとめってきた感じはありましたが、もっとカーブでカウントを取れるようになれば......」

 それでも視察に訪れたスカウトは、あらためて小林の成長を確認した。

 日本ハムの林孝哉スカウトは「多少シュート回転するボールもあったけど、ここまでよくなっているとは思いませんでした」と絶賛。

 別のスカウトは「6月上旬に見た時は、正直、大学を経由してプロでもいいかと思いましたが、今日の試合を見ていてここまでストレートで押せるようになったとは驚きです。この1カ月でここまで変わるとは......高校生の成長はすごいですね」と舌を巻いた。

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