スカウト注目の大分商・川瀬が粘りの投球。気になる進路は大学かプロか

  • 加来慶祐●文 text by Kaku Keisuke
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

◆「甲子園交流試合」絶対注目の好投手たち>>

 大分県の独自大会で、久しぶりに実戦で投げている大分商のプロ注目右腕・川瀬堅斗を見て、「あれっ? スタイルが変わったな」と思った。

 昨年の秋、準優勝に終わった九州大会の時は、もちろんカットボールやスライダー、チェンジアップも冴えていたが、最速147(当時/現在は148)キロのストレートがウイニングショットにもカウント球にもなり、なにより川瀬の生命線であった。つまり、正真正銘の"速球派"だった。

花咲徳栄戦で粘りのピッチングを見せた大分商のエース・川瀬堅斗花咲徳栄戦で粘りのピッチングを見せた大分商のエース・川瀬堅斗 ところが、大分の独自大会をはじめ、甲子園交流試合前に行なわれた明豊との壮行試合を見る限り、カーブを多投するようになり、スプリット系の落ちる球までマスターしていた。

 もともと制球力は高く、これらの多彩な変化球を自在に操れるようになったという点では、投手として成長しているともいえる。だが、今の川瀬のピッチングは、昨年までの生きのよさが半減しているように思えて仕方なかった。

「きっかけは、独自大会前の関西遠征ですね。今回の甲子園交流試合に出場する明石商と履正社と対戦した時に、打たれたのはほとんどがストレート。今後、投手として成長し、結果を残していくためには、やっぱり変化球こそが大事になってくると考えたからなんです」(川瀬)

 大会直前の7月11、12日に組まれた関西遠征で、川瀬は明石商戦こそ5回2失点6奪三振と踏ん張ったが、履正社戦では5回7失点と打ち込まれてしまった。

 履正社のプロ注目の捕手、4番・関本勇輔は無安打に抑えたが、3番の小深田大地には2本のタイムリーを浴びるなど完敗。活動休止明けの練習試合で左足肉離れを起こし、万全の状態にはほど遠かったとはいえ、さすがにこれほど失点を重ねては、自らを見つめ直すしかなかった。

 コロナ禍による活動休止中、川瀬は高卒でのプロ入りをあきらめ、進学志望に大きく傾いたという。川瀬は言う。

「今年に入って、大会どころか実戦機会がないので『川瀬堅斗を見せる』場がことごとく消滅してしまって......それなら大学でもう一度鍛え直して、4年後に即戦力として獲ってもらえるように頑張る道もあるのかなと」

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