「畑中が必要だ」。鳥取城北で唯一ベンチ入りの2年生が期待に応えて3安打 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 ボールボーイを務めた背番号をつけていない部員が、畑中に「ありがとうな」「よかったぞ」と次々に声をかけていた。「畑中が必要だ」とメンバー入りをあと押しした3年生の思いに応えるように、畑中は甲子園で3本のヒットを放った。

 そして、この夏を経て畑中は最上級生になる。決然とした表情で、畑中は言った。

「最後に3年生が泣いている姿を見て、悔しさを経験した者としてもう1回ここに帰ってきて、いいプレーをして勝ちたいと思います」

 スタンドで応援する者、ともに戦った3年生、鳥取で応援していた野球ファン。たとえ大きな声で思いを伝えられなくても、甲子園球場という場所には人に熱い思いを宿す不思議な力がある。

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