埼玉に高校通算50発の好素材がいる。快速サイドハンドも将来性抜群 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 昨年秋の県大会準優勝の西武台は、経験豊富な左腕・増田優真が牽引する。球速はMAXでも120キロ台中盤だが、80キロ台のカーブを駆使して打者にタイミングを取らせない。ピッチングのうまさでは、間違いなく県内屈指の存在だ。

「西部」地区は、総合力で聖望学園が頭ひとつリードしている。179センチ、83キロの園田周は、コンスタントに140キロをマークするパワーピッチャーで、いい時のボールは一級品。あとは実戦での調子の波を解消したいところ。

 野手では、187センチの大型遊撃手・蔵田亮太郎に注目だ。ひざの故障で長期離脱を余儀なくされたが、ここにきて完全復活。柔軟さと力強さを兼ね備えたフィールディングは絶品だ。

 ほかには、実戦力の高いエース・米永大基が屋台骨を支える市立川越、打者を圧倒する球威が魅力の川越東・蔭山康輔、2年生ながら味のあるピッチングで試合をつくる山村学園の小泉裕貴など、"川越勢"に楽しみな素材が揃う。

「北部」は突出した存在の選手は見当たらないが、正智深谷のエース・北田智郎は、昨秋県大会で市立川越を5安打完封するなど、長いリーチを生かした投球が魅力だ。

「東部」は、昨年秋の県大会を制し、8月10日から甲子園で開催される「甲子園高校野球交流試合」にも出場する花咲徳栄が投打に充実している。

 全国的にも注目されているドラフト候補の井上朋也は、高校通算50本塁打という数字以上に、打席での立ち居振る舞いや集中力が高校生離れしている。1打席にかける思いは、すでにプロのレベルである。

 この井上の陰に隠れてあまり目立っていないが、左の強打者・中井大我のバッティングも魅力十分。とにかくスイングスピードが速く、バットコントロールも一級品。まぎれもなく超高校級の素材である。

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