2020.08.07

7イニング制導入も。甲子園を失った夏に
「高校野球の未来」を考える

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kyodo News

 本格派右腕の後に技巧派左腕を挟み、再び本格派右腕が出てくる。そんな目まぐるしい継投をされれば、相手打線は順応しきれない。当然、リリーフした投手が不調で打たれるリスクはあるものの、7イニング制なら複数の好投手を擁するチームはより逃げ切りやすくなる。

 また、栃木の1年生大会は7イニング制で開催されている。そのため、栃木のチームは7イニングでの戦い方を理解していると柄目監督は明かす。

「シートノックから初回のつもりでやって、1打席目を2打席目のつもりで臨まないといけません。エンジンが温まるのが遅いと間に合いませんから。だから7イニングを勝ちにいくために『初回力』はかなり意識しています」

 7イニング制では、9イニング制にはない、スピーディーな展開が見られる可能性がある。

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 とはいえ、現場の思いは複雑だ。今夏は7イニング制という与えられた条件を戦ったが、指導者や選手に「どちらが好きか?」と聞けば「9イニングのほうがいい」とほぼ全員が口を揃えた。

 もし本格的に導入を検討するなら、ポイントになるのは「健康」と「遊戯性」になるだろう。選手をケガのリスクから守る仕組みをつくりつつ、ゲームとしても面白さを追求していく。その両輪が競技としての発展にもつながっていく。

 野球の歴史を紐解けば、当初は「21点先取したチームの勝利」というルールだったのが、時間がかかりすぎるため9イニング制に変わったという経緯がある。細かな部分でも時代に合わせてルールを変えてきており、「野球は9回でやるもの」と断定してしまうと野球が本来持っている可変性を損なう。

 そして、なにも7イニング制だけにこだわらなくてもいい。

 好チーム同士の対戦で7イニングでは物足りないなら、コールドゲームの規定を変えるという案はどうだろうか。現状7回7点差でコールド成立する地区なら、満塁本塁打が出ても追いつけない5点差でコールド成立にする。