千葉の無名右腕が急成長でプロ注目。
自粛期間に147キロと大幅球速UP

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu
  • photo by Takagi Yu

◆ヤクルト長谷川宙輝の母校にまた大器>>

 現在、全国各地の高校野球代替大会で名も知れぬ逸材たちが突如として続々と登場している。春の都道府県大会や練習試合が新型コロナウイルス禍によって中止となり、選手たちが日の目を見ることがなかったからだ。それほど高校生にとっての「ひと冬を越えた成長」というものは目覚ましいものがある。

 8月2日に開幕した千葉の独自大会でも、強豪校にとって脅威となりそうな無名校の逸材がいる。

 今年5月、例年なら高校野球雑誌の執筆をするために春季大会で情報収集する時期だが、緊急事態宣言下で不可能のため、各強豪校の監督へ頻繁に電話で聞き取りをした。そのなかで日体大柏の伊藤太一監督から、失礼ながら名前に聞き覚えのない高校のひとりの投手を紹介された。

「秋に対戦したのですが、すごく気持ちが入っていて全球全力で投げるような投手。スライダーもよかったです」

 伊藤監督がそう評したのが、東葉(とうよう)高校の右腕・清水大翔(だいと)だ。

将来はプロに進みたいと語る東葉高校のエース・清水大翔将来はプロに進みたいと語る東葉高校のエース・清水大翔 秋の千葉大会1回戦で日体大柏は東葉に延長13回の激闘の末、2対3で敗れている。その試合で清水は完投勝利。一方で、3回戦の中央学院戦では0対18と大敗。結果だけを見ると実力は測りきれない。

 そこで東葉の山田弘徳監督を紹介してもらい電話をかけると、さらに驚くべき事実を知らされる。

「『この間、元気にしているか?』と連絡したんですけど、すると『147キロが出ました』と。ひと冬越えたら140で出るだろうと思っていたのですが、そこまでとは......」

 ただ前述したように部活動はおろか、学校も2月末から休校を余儀なくされていた。監督でさえ未確認の"急成長情報"だったのだ。

 とはいえ、その数字が本当であれば、プロスカウトも放っておくはずがない。そこで練習再開から1週間が経った6月下旬、東葉高校のグラウンドを訪れた。

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