全国の高校野球ファンに見てほしい。
強力打線・習志野の絶品プレー

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

スポルティーバ厳選! 
高校野球 47都道府県の注目選手
千葉編

当事者が明かす「高校野球史上最悪の大誤審」の真実 >>

 新型コロナウイルスの影響により毎年夏に甲子園で開催される「全国高等学校野球選手権大会」が中止となり、その代わりに、各都道府県は独自の代替大会を開催している。千葉では8月2日に「2020夏季千葉県高等学校野球大会」が開幕。白熱の激戦が期待されるなか、注目の選手たちを紹介したい。

昨年から4番に座る習志野のスラッガー・桜井亨佑昨年から4番に座る習志野のスラッガー・桜井亨佑 昨年春のセンバツで準優勝を果たし、夏の甲子園にも出場した習志野。当時のレギュラーが5、6人残り、選手層の厚さは県内屈指。なかでも、昨年から不動の4番に座る桜井亨佑(こうすけ)はプロ注目の好打者だ。

 ツボに来れば軽々とオーバーフェンスするパワーを備え、広角に打ち分けるバッティング技術は、すでに高校生のレベルをはるかに凌駕。相手投手に関係なく、いつもコンスタントにヒットを重ねていく様は、偉大な大先輩・福浦和也(元ロッテ)を彷彿とさせる。

 桜井とは対照的に、何かのきっかけでとんでもないスラッガーになるのでは......そんな予感が漂うのが和田泰征。タイミングがあった時の打球のスピードは一級品。もう少し確実性が上がってくれば、相手チームにとってはいま以上に厄介な存在になるだろう。"未完の大器"という言葉がピッタリくる選手だ。

 昨年から鉄壁の二遊間を組むセカンドの小澤拓海とショートの角田勇斗は、フィールディングの華麗さはもちろん、息のあった併殺プレーは絶品。ぜひとも全国のファンに見てほしかった。

 習志野の全国級の強力打線に真っ向勝負できるとすれば、木更津総合の本格派右腕・篠木健太郎だろう。

 自粛明けの7月上旬の練習試合で、終盤になっても150キロ近いストレートを連発するなど、強烈な腕の振りは健在。自慢のストレートだけじゃなく、高速スライダー、高速フォークも一級品で、相手が強いほど力を発揮する勝負根性も頼もしい。

 篠木と二枚看板を形成するのが、入学時から将来を嘱望されていた左腕の吉鶴翔瑛(しょうえい)。ストレートは常時130キロ後半が出るようになるなど、すべてにおいてスケールアップ。自慢のスライダーのキレも増し、奪三振率も急激に上がった。

 毎年、投打に好素材を輩出する東海大市原望洋には、江見勇真と藤岡大河の大型スラッガーが打線をけん引する。185センチの内野手・江見は左打席から鋭い当たりを連発し、足も速さも魅力十分。181センチの藤岡はパワータイプの右の強打者で、勝負強さも兼ね備える。

 昨年秋の県大会準優勝の拓大紅陵は、竹内将吾、加藤光夫の実戦力の高い両右腕がゲームをつくる。

 捕手なら成田の古谷将也。地肩の強さと、昨年秋の県大会でサヨナラ逆転3ランを放った強打と勝負強さが持ち味で、50mを6秒ちょっとで駆け抜ける脚力も兼備し、堂々のドラフト候補に挙げられている。

 成田には齋藤鳳人(たかと)、根本優輝という両右腕がおり、ともに140キロ近いストレートと鋭く曲がるスライダーが武器の本格派。潜在能力が高く、今後も成長も楽しみだ。

 すっかり上位進出校の常連になった専大松戸には、県内屈指の左腕・西村卓真がいる。驚くようなスピードがあるわけではないが、微妙に動くボールとリリースが見えづらい投球フォームは、好投手の証である。

 また、入学時からクリーンアップに抜擢された吉岡通泰の左打席からの強打も楽しみだ。

 このほかの注目選手は、躍動感あふれるフォームから140キロ台前半のストレートとスライダーで打者を圧倒する志学館の本格派右腕・相馬綾太。昨年夏から140キロを出し注目を集めた日体大柏の箱山優。

 野手なら、広角に長打が打てる技術とパワーを兼ね備えた千葉商大付の大型遊撃手・奥山隆輝、昨年から千葉明徳の4番に座る寺嶋勇馬も高校生離れしたバッティングが光る強打者だ。

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