もっと評価されていいドラフト候補。創価大・萩原哲は2つの顔を持つ (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 昨秋の明治神宮大会への出場権をかけた横浜市長杯・白鴎大戦では、萩原は鮮烈な活躍を見せている。守備では大学屈指の快足ランナー・金子莉久(現・JR東日本)の盗塁を完璧に阻止し、打撃では本塁打を含む3安打6打点。だが、チームは敗れたためか、萩原の歯切れは悪い。

「あの試合は入り込みすぎてしまいました。だからこそ盗塁も刺せて、打てたのでしょうが、だからこそリードがうまくいかず、打たれてしまったのかもしれません」

 最上級生になった今年、萩原はキャプテンとなり、進路を「プロ一本」と定めるドラフト候補にもなった。

「日本一になって、『勝てる捕手』として評価されてプロに行きたい」

 そう萩原は意気込むが、三本柱の抜けた投手陣は総入れ替えになる。それでも萩原は「逆に捕手の腕の見せどころ」と力を込める。台頭してきた速球派左腕の鈴木勇斗(3年)ら、楽しみな素材は多い。それだけに、自分の差配次第では爆発的なチーム力になる自信があるからだ。

 そんな萩原がインタビュー中、唯一苦い表情を見せたのが、昨冬の大学日本代表候補合宿のメンバーから漏れた件に触れたときだ。萩原は「ジェラシーでしかないです」と本音を明かす。選出された候補選手と比べても、自分が実力的に劣っているとはどうしても思えなかった。

 だが、悔しさを押し殺して萩原はこう続けた。

「誰が見ても『こいつしかいない』という選手になれば、有無を言わさず選ばれると思います。でも、自分にはまだその力がありませんでした」

 自分の力を証明するには、勝つしかない。コロナ禍のため春のリーグ戦は中止になり、あとは秋のリーグ戦が開催されることを信じて調整する日々を送っている。

 2つの顔を持つ捕手・萩原哲が、その実力を存分に発揮できる舞台が整うことを願ってやまない。

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