最速156キロのドラフト候補が、変化球ピッチャーを目指す理由 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 速球派投手と言えば、ストレートで押して三振を量産するイメージがあるだろう。だが、小又はその道を目指すのではなく、打たせて取る「150キロを投げる変化球ピッチャー」の道を選んだ。

 そして何よりも、「投手としてマウンドに立てることがうれしい」と小又は晴れやかな笑顔で語った。

「野球ができる喜びを感じながら投げています。一日、一日楽しんでできていますし、まだまだ成長できると思っています」

 NTT東日本の投手陣は社会人屈指のレベルを誇る。3年前の都市対抗優勝を知る大竹飛鳥、末永彰吾、沼田優雅、堀誠といったベテラン・中堅が健在で、飯塚監督が「エースとして投げてもらわないと困る」と高い期待を寄せるドラフト候補左腕の佐々木健、さらにルーキーながら角度を生かした投球で台頭する稲毛田渉もいる。小又は「上からも下からも圧力がかかって刺激を受けます」と語る。

 そして、チーム内での競争を勝ち抜いた先に、小又のさらなる未来も広がっているのだろう。だが、小又はしっかりと足元を見つめている。

「上(プロ)に行けるのであれば行きたいですけど、僕は意識すると力んで自滅するタイプなので。それよりも今年こそ会社に貢献したいという思いで毎日やっています。ベテランの方も結果を残すので競争は厳しいですけど、自分の働き場所は自分で勝ち取らないといけないと思っています」

 現時点で25歳という年齢がネックになる可能性もあるが、飯塚監督は「使い減りしていないので、まだまだ若いですよ」と後押しする。

 今年のNTT東日本には、ほかにも前出の佐々木や、遊撃手の上川畑大悟、中堅手の向山基生といったドラフト候補が控える。とくに上川畑は、NTT東日本の臨時コーチを務める井端弘和氏(元中日ほか)が「今すぐ巨人に入れても、坂本(勇人)の次くらいに守備がうまい」と太鼓判を押すほどの能力がある。

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