2020.07.17

右のパワーヒッター揃う今年の島根。
石見智翠館は140キロカルテット完成

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 21世紀枠でセンバツの出場権を獲得していた平田の右腕2人も順調に成長中。エースの古川雅也は、オフを経て体重増に成功。球威が向上したことで、秋の段階でも際立っていた緩急のコンビネーションに磨きがかかった。三塁手兼任の高橋大樹も、アウトステップしがちだった踏み込みの位置が安定してきたことで、ストレートの勢いを保ちつつ、まとまりも身に付けた。

 そのほかの右投手では、下級生時代は野手の印象が強かったが、昨夏から秋にかけて一気に投手らしくなってきた矢上(やかみ)の上田寛人(ひろと)、低い重心の踏み込みで投じるストレートの軌道に特徴がある三刀屋(みとや)の内田智也、高回転の速球と野手顔負けのフィールディングが光る出雲農林の岡田天翔(かける)、落差のあるフォークで狙って空振りを奪える大社の落合功明(こうめい)らが面白い。

 左腕に目を移すと、切れ味鋭い高めの速球で空振りを誘う出雲西の中田敬斗、昨夏の県4強に貢献した出雲の技巧派・高木悠、県内他校の指導者も指にかかったストレートの勢いを賞賛する松江北の中尾陽斗(はると)らに存在感がある。

 野手は右打者たちが活発だ。そのなかでも目立っているのが、開星の外野手・山本大斗(だいと)。鋭いスイングで捉えた低いライナー性の打球は、瞬く間に外野フェンスに到達する。180センチ、88キロのサイズがありながらも、俊敏性とスローイングの安定感も兼ね備えている。

 下級生時代から中軸を任される立正大淞南の佐藤文彰(のりあき)と浜田の波田野大愛(たいと)も県を代表する右の長距離砲。

 佐藤は昨夏の島根大会準々決勝、準決勝で場外本塁打を連発するなど、打球の飛距離では群を抜く。県内各校の対外試合が再び解禁された6月13日の試合で、すぐさま高校通算35号をレフトスタンドに叩き込んだ。

 波田野は1年春から名門の中軸を任される。速いスイングで響かせる強烈な打球音、インパクトシーンの体勢からも、飛ばすポイントを肌で理解していることが伝わってくる。

 昨秋の新チーム始動時に、佐藤は一塁手から三塁手、波田野は三塁手から捕手にコンバート。秋と比べて、格段に成長した守備面も見逃せないポイントだ。