ドラフト指名請負人の育成術。元広島・西田真二が選手に伝えていること (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 社会人野球には都市対抗野球大会、社会人日本選手権の2大大会があり、とくに都市対抗では各企業が威信をかけて集客をかけ、応援に力を入れる。都市対抗への出場権を逃した企業チームの野球部員は、しばらく社内で肩身の狭い思いをしなければならない。

 ましてやセガサミーの場合は昨年の2大大会とも予選で敗退し、出場できなかった。さらに大手パチスロ・パチンコ、ゲームメーカーとして知られるセガサミーホールディングスは、コロナ禍の被害を大きく受けている。すでに来年度の野球部員の採用が見送られることになった(※4〜5名の採用を予定していたところ、4月時点で内定していた2名のみの採用となり、以降は凍結した)。

 今年は7月開催予定だった日本選手権が中止になり、ビッグイベントは11月開催予定の都市対抗しかない。監督就任1年目とはいえ、早くも西田監督の手腕が問われる。

 今年のセガサミーには、有望な若手選手がひしめいている。とくに西田監督が期待を込めるのは、高卒3年目の森井弦斗(げんと)、飯田大翔(やまと)の2投手だ。

「ふたりにははっきり言いましたよ。『おまえらが軸にならないとあかん』と。ウチにはベテランの陶久(亮太)、球のキレがある草海(光貴)、新人も横山(楓)、久保田(淳希)と力のあるピッチャーがいます。でも、私は森井と飯田がセガの命運を握っていると考えています」

 ともに最速150キロを超える本格派右腕であり、将来性豊かな逸材であることは間違いない。だが、森井も飯田も20歳を超えたばかりで、2大大会での登板機会すらない。西田監督も「経験値が少ないので、勝てるピッチャーになるには試合のなかでコツをつかんでいかないと」とふたりの課題を語る。

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