ドラフト指名請負人の育成術。元広島・西田真二が選手に伝えていること (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 独立リーグと社会人野球の違いを聞くと、西田監督はこう答えた。

「独立リーグはNPBと比べて規模は小さいけど、地域密着でスポンサー収入や観客動員、グッズで収益をあげる。社会人野球はセガサミーのような企業チームの場合、野球で就職しているところもある。野球を通じて仕事も学び、家族を養う人もいます」

 独立リーグに所属する大半の選手はNPBからのドラフト指名を目指し、報酬や練習環境に恵まれているとは言えない。一方の社会人野球はチームによって千差万別ながら、有名企業チームであれば会社員として恵まれた環境でプレーし、引退後には社業に専念するため生活が安定しやすい。

 集まる人材も対照的で、社会人野球には名門大学出身のエリートやドラフト候補が入社する一方、独立リーグには高校・大学の中退者など野球界のエリートコースから外れた選手が集まる。

 西田監督は「独立リーグの選手には自活する力がある」と語る。

「危機感を持って過ごしているし、シーズンオフは球団から給料が出ないからアルバイトをして生活しなければなりませんから」

 かといって、社会人野球が「温室」だというわけではない。西田監督は続ける。

「会社あっての社会人野球やから。選手にしても、引退後に企業に残って会社の戦力にならなければいけないわけです」

 企業がチームを保有するには、年間数億円のコストがかかる。業績が悪化し、野球部を休廃部するケースも珍しくない。

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