広島の夏。広陵、武田の本格派右腕と高陽東、尾道商の強打者に注目だ (2ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Inoue Kota

 昨秋は秋山に後れをとったものの、3年生の秋田駿樹(しゅんき)も将来性を秘めている。高い位置からリリースするクロスファイアーは、好調時は攻略困難な代物だ。

 昨夏王者の広島商の廣島智弘、高井駿丞はそれぞれ違った"色"を持つ。ふたりを端的に表現するなら「完成度の廣島、将来性の高井」。腕がしなやかで柔らかい廣島は、現時点でも高いレベルでまとまった好左腕。それに対して高井は不安定さが顔を覗かせるものの、リリースがハマったときの速球に底知れないロマンが漂う。

 1年秋の県大会から背番号を掴み、昨夏の甲子園でもベンチ入りした廣島だったが、秋の背番号1は高井だった。入学以来続いているエース争いで開幕直前まで能力を高め合う。

 昨春のセンバツでもベンチ入りしていた市立呉の住本太陽、廣本拓士の長身右腕2人も潜在能力を秘めている。賀茂監督時代に海田智行(オリックス)を育て上げた中村信彦監督が期待するのは、精神面の成長。この夏は一皮むけた姿をマウンド上で見せられるか。

 スライダーのキレ味が強烈な盈進(えいしん)のエース右腕・渡瀬藍司(あいし)は、秋の中国大会初戦で延長13回212球を投げ抜いたスタミナも兼備。無尽蔵の体力で、この夏もマウンドを守り抜く。野手仕様の軽快なフィールディングと捕手経験を生かした冷静さで試合をつくる元川惇太(じゅんた)、小柄な体を余すことなく使い切るサイドスロー・卜部雄介の尾道商の右腕コンビも夏の活躍が期待される。

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