大阪桐蔭の応援団長が「パワプロ」で覚醒⁉新記録樹立でドラフト候補へ (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 肩痛が癒え、ようやく投げられるようになった春には、新しい1年生が入ってくる。徳山壮磨(現・早稲田大)ら、のちに2017年春のセンバツを制覇する学年である。うんざりしても不思議ではないが、大石は「逆に楽しみだった」と振り返る。

「年下でも『どんなやつ、おんねやろ?』と、ワクワクしてしまうんです。本当はダメなんでしょうけどね」

 2年秋からベンチ入りし、3年春のセンバツには前述の通り外野の控えで出場。だが、3年夏は大阪府大会のベンチ入りを逃した。代わりにベンチ入りしたのは、1年生の藤原恭大(現・ロッテ)、根尾昂(現・中日)だった。

「バッティングの調子がどん底まで落ちてしまって、焦ってすべて悪い方向にいってしまいました。藤原と根尾はほんまビックリの連発でした。とくに根尾はバッティングピッチャーで投げたんですけど、初球に打った打球が『センターライナーかな』と思ったらそのままホームラン。恐ろしいな......と思いましたね」

 ベンチ入りを逃した大石は、自ら「応援団長」を買って出る。1年生を指揮して応援練習に精を出し、毎日バッティングピッチャーを務めてチームをサポートした。不満を抱いたこと、腐ったことは一度もないという。

「どの選手もチャンスはたくさんもらっていて、結果を出せなかったのは自分のせいなので。桐蔭に腐るようなやつは絶対にいません」

 大阪大会は3回戦で関大北陽に1対2で敗れ、大石は高校最後の夏をスタンドで終えた。

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