2020.06.15

「日本一空気の読めない高校」と言われた
盛岡大付の主将がまさかの転身

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 ところが、試合は思わぬ方向に転がっていく。盛岡大付の主砲・二橋大地(現・三菱日立パワーシステムズ)の左翼ポール際の大飛球が「本塁打」と判定され、場内は騒然となる。結果的に際どい判定によって3得点を加えた盛岡大付が5対3で勝利した。

 試合後の閉会式で、優勝キャプテンインタビューを受けたのが藤田だった。笑顔で質問に答える藤田に対して、スタンドからこんな声が飛んだ。

「よっ、横浜瀬谷ボーイズ!」

 神奈川県出身の藤田を揶揄する野次(ヤジ)だった。この試合、盛岡大付の先発メンバー9人のうち、5人が横浜瀬谷ボーイズ出身だった。対する花巻東は大谷をはじめ「オール岩手」の対照的な布陣だった。

 スタンドから聞こえた野次を、藤田は8年経った今でもはっきりと記憶している。

「覚えていますよ。その人だけじゃなく、いろんな声が聞こえてきました。『ガイジン部隊』だとか『横浜瀬谷大付属』だとか」

 地元出身の部員だけで構成される野球部がファンから支持される一方、越境入学者が多い野球部は「ガイジン部隊」などと非難を浴びることがある。越境入学者のことを高校野球界では「野球留学生」と呼ぶ。全国から野球留学生が集まる盛岡大付は、地元を愛する一部ファンにとって「ガイジン部隊」だったわけだ。