「センバツ交流戦」で見逃すなかれ。
密かに注目していた5人の逸材

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 天理の達は近畿チャンピオンとなり、昨年秋の神宮大会にも出場したのだが、ブルペンしか見ていない。そのブルペンでも素質のよさは十分感じることができた。マウンドの前から投げているんじゃないか......と思わせるほど捕手との距離が近く感じる。おそらくバッターも同じことを思っているのではないだろうか。それだけで立派な武器だ。

 達を初めて見たのは、近畿大会決勝の大阪桐蔭戦の映像だった。じつはこれが投手として初の公式戦だという。中村良二監督もずいぶん思い切ったことをするなぁ......と思っていたら、7回まで1失点の好投。さすがに8回は疲れが見え、追加点を奪われたが、そんな結果以上に驚いたのが、達の表情だ。大阪桐蔭相手にビビるどころか、「楽しくてしょうがない」といった感じで、嬉々として投げていた。

 このスケールの大きさは、大谷翔平(エンゼルス)、佐々木朗希(ロッテ)に通じるものがある。どこまで成長しているのか、楽しみで仕方ない。

 鹿児島城西の八方は、昨年の秋は見られなかったが、夏の県大会で一度見ている。古豪・玉龍高に打ち込まれ敗退したが、高めのボールゾーンに対し相手打者が思わず振ってしまうシーンを何度か見かけた。つまり、ベース付近でもボールの勢いが落ちていない証拠である。あの腕の振りは教えてもなかなか身につくものではない。

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