投手・村田修一が打者専念を決意。松坂大輔と古木克明との対戦で心境に変化 (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Sankei Visual

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 軽く投げているように見えるのに、ストレートは140キロ後半。スライダーも「こんなに曲がるのか」と村田が驚くくらいに鋭く変化した。

「初戦の前に松坂のピッチングを見て、『今日勝ったら、こいつと対戦するのか......』と。甲子園ではコールドゲームがない。横浜打線は強力だったから、恥をかかないで福岡に帰るためにはどうしようと真剣に悩んだ。同じ高校生とは思えなかった」

 その日、東福岡は出雲北陵(島根)に5-0で勝ち、報徳学園(兵庫)を6-2で下した横浜と対戦することになった。

 優勝候補に挙げられていた報徳学園に勝った松坂が「次の試合はふたケタ三振を取ります」と宣言するのを聞いて、村田は「えらそうなことを言うな」と思ったのだが、試合で対戦した瞬間に松坂のすごさを実感することになった。

「インコースに来たボールがびゅーっと曲がってキャッチャーミットに収まった。体に当たるかと思って身を固くした僕をあざ笑うかのように、球審の判定はストライクをコールした。『絶対に打てんやろう!? なんや、今の......』と思った」

 速いボールを投げる速球派はほかにもいたが、音を立てて向かってきたスライダーがアウトコースに決まるピッチャーは松坂だけだった。

 投手・村田は、松坂にレフトフェンス直撃のタイムリーツーベースを打たれるなど、0-3で敗れた。東福岡が松坂から放ったヒットは2本だけ。三塁さえ踏むことができない完敗。三番に座った村田は4打数ノーヒットに終わった。

「2個の三振を奪われて、この時、ピッチャーとして松坂に勝ちたいという気持ちよりも、『バッターとして打ち返したい』という気持ちが芽生えた」

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