大谷翔平のほろ苦い甲子園デビュー。150キロ計測も帝京4番松本剛に決勝打 (2ページ目)

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by Kyodo News、Ohtomo Yoshiyuki

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 投球時のストライドを通常よりも狭め、下半身に負担がかからないフォームで投げ続けたが、本来のボールではないことは明らかだった。そんな状態でありながら150キロを出すあたり、あらためて大谷のポテンシャルの高さを見せつけられたが、常にストレスを抱えたままのピッチングを強いられた。

「腰を落とすと痛くて......下半身を使えずに上半身だけのピッチングになってしまいました」

 試合前、取り囲む報道陣に対して放った「3日前に100%に近い状態に戻りました」という言葉は精一杯の強がりだったのか。150キロを叩き出した5回表も、帝京の1年生捕手で9番に座る石川亮(現・日本ハム)の安打を皮切りに2点を失った。

 そんな流れのなかで迎えた6回裏、大谷は同点打となる強烈なレフトフェンス直撃の一打を放つ。それは打者としての能力の高さを証明するものであり、「絶対に負けられない」という意地の表れでもあった。

 だが直後の7回表、大谷は石川に143キロのストレートを左中間に運ばれ無死二塁とピンチを背負う。その後、二死一、三塁となり4番の松本が打席に立つ。

 大谷は1ボール2ストライクと投手優位のカウントに持ち込むが、4球目の146キロのストレートをライト前に運ばれた。4番とはいえ「長距離砲ではない」と自覚していた松本は、普段からシャープにスイングすることを心がけていた。この時も強引に打ちにいくのではなく、ミートすることを最優先したバッティングだった。

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