「ドクターK」松井裕樹が圧巻の投球も田村龍弘・北條史也の最強コンビに屈す (2ページ目)

  • 佐々木亨●文 text by Sasaki Toru
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

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 つづく4番・北條史也(現・阪神)に対しては、ストライク先行で投手優位のカウントに持ち込むと、最後は内角高めの142キロのストレートで三振。スピードボールにめっぽう強い北條が珍しく体勢を崩しての空振り三振に、あらためて松井のポテンシャルの高さを再認識させられた。

 初回のピンチを切り抜けた松井は、つづく2回表から5イニングは無安打ピッチング。それどころか毎回奪三振を記録するなど、田村、北條という高校球界屈指の強打者をもってしても、松井攻略は至難の技だった。

 潮目が変わった──そう感じ始めたのは7回表だった。先頭打者の北條は2つのファウルで追い込まれたが、いずれもスライダーを打ってのものだった。これは、それまでかすりもしなかった松井の最大の武器に対応し始めた証だった。

 この時、北條はこの夏、初めてバットを短く持って打席に入った。松井の大きく鋭く曲がるスライダーに対応するためだ。そして北條はやや高めに浮いた124キロのスライダーをコンパクトに振り抜き、レフト前へクリーンヒット。つづく5番打者も安打でつなぎ、無死一、二塁と初回以来となる得点圏にランナーを進めた。結局、この回は無得点に終わってしまうが、「もしかしたら......」と球場の雰囲気は明らかに変わった。

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