四国IL愛媛がいち早く選手の給与を保証「若者が挑戦する場を守りたい」 (4ページ目)

  • 阿佐智●文 text by Asa Satoshi
  • photo by Asa Satoshi

 独立リーグの場合、損益分岐点は1億5000~6000万円だという。このうちスポンサー収入は4割強。残りについては、試合を行なって、そこで稼がなければならない。後援会収入も、その特典がチケットとグッズからなっているため、試合が開催されなければ話にならない。

 つまり、現在は肝心の試合が実施されておらず、選手やスタッフの人件費だけがなくなっていく状態である。その対策として、当面はグッズのネット販売に力を入れているという。

 一方、練習についてだが、愛媛球団の場合は地元企業のグラウンドを借りているため、まったくできないわけではなかった。それでも全体練習は禁止し、28人を3つのグループに分けて"自主練習"という形で行なった。

 また、選手たちは全員が球場から2、3分のところにある寮で生活しており、外出するのは練習と食材の買い出しぐらいで、コロナ感染から身を守りやすい環境といえる。寮費も月1万円と格安で、独立リーガーの安月給でも生活に困らない。

 ただ、今年は15人が新入団という陣容にあって、早くからチームに合流していた高卒、大卒のルーキーたちは、卒業式の出席はあきらめざるを得なかった。薬師神代表が苦悩の決断について語る。

「かわいそうだとは思いましたが、やはり県外への移動は避けようと......。とくにコロナ感染が広がっていた首都圏や福岡に実家のある選手が12人もいたので、愛媛を出るのは禁止にしました」

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