腹切り発言の開星・野々村監督が復帰。切実だった事情と新指導への思い (4ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Inoue Kota

 そう語っていたが、じつは風向きが変わり始めたのは、昨年の2月だった。自身の監督時代からコーチを務め、勇退後にチームを任せた前監督が、体罰によって謹慎になったタイミングだった。

「この時、校長先生が『野々村先生はどうしたらいいと思われますか?』と一度相談に来られたんです。私は現場を自分の目で見ているわけではありませんでしたが、教え子たちから部の現状について、ある程度は話を聞いていました。それを基に『もし後任の目途が立っているのなら、監督交代も選択肢になるんじゃないでしょうか』と進言させてもらいました」

 この時は学校内に後任の適材者がいなかったこと、校長が「謹慎明けに反省していると期待したい」と判断したことから、前監督の続投を決断。しかし、秋の県大会準々決勝で敗退した直後にも行きすぎた指導があり、一部メディアが一連の様子を報道。あらためて監督交代の必要性を感じた校長が、再び野々村を訪ねた。

「昨年の12月、再びギャラリーに相談に来られました。『監督交代を考えていて、後任を探している』とのことで、私から『こいつは骨があるし、開星を任せてみたい』と感じていた教え子を数人推薦しました。それに加えて、もし必要であれば総監督のような形で協力もします、とも伝えました。推薦した教え子はいずれも高校野球の監督未経験で、不安は必ずあるだろうし、私の名前を出すことで交渉がスムーズになるのなら使ってくださいという意味も込めての提案でした」

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