2020.05.17

「岡本和真に負けた」。そして元U 18
日本代表の野球エリートは起業を目指した

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Sawai Fumi

 だが夏の大会が近づくにつれ、徐々に立場は逆転していく。6月に高知県高野連が取材する招待試合で、藤浪晋太郎(阪神)を擁し、センバツで優勝した大阪桐蔭と対戦。その試合でマウンドに立ったのは岸だった。

 その後、岸は夏の甲子園でも初登板を飾ったが、一方で安田は表舞台から消え、秋の新チーム発足前に馬淵史郎監督からこう告げられる。

「『おまえはエースになれることはないけど、バッティングがいいからキャッチャーをやれるか』って。そこから練習して4番・キャッチャーとして試合に出るようになったんですけど......。でも、その後に水野(克哉/現・伏木海陸運送)が正捕手になって、僕はショートや外野、いろんなポジションをこなしました。セカンド以外は全部経験したと思います」

 3年時に出場した甲子園では正遊撃手としてプレーし、U18アジア大会(タイ・バンコク開催)に岸とともに選出された。

「正直、自分でいいのかなって。(日本代表の)ユニフォームだけをもらって帰ってくるつもりだったんですけど、まさか全5試合にフル出場するとは思いませんでした。あれだけのメンバーのなかでフル出場できたことは自信になりました」

 その日本代表メンバーには岸のほかに、岡本和真(智辯学園→巨人)、高橋光成(前橋育英→西武)、飯塚悟史(日本文理→横浜DeNA)、小島和哉(浦和学院→早稲田大→ロッテ)、岸田行倫(報徳学園→大阪ガス→巨人)、香月和也(大阪桐蔭→ロッテ)、脇本直人(健大高崎→元ロッテ)、淺間大基(横浜高→日本ハム)など、錚々たるメンバーが揃っていた。