ものすごい直球でも「ロマン枠」。NTT東日本の左腕が真のドラフト候補へ (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 社会人1年目の昨季の公式戦について聞こうとして、何と切り出すべきか迷っているうちに言い淀んでしまった。その雰囲気を察した佐々木は、こう言った。

「いいですよ、言葉を選ばなくて。はっきり言っちゃってください。去年は早期降板しかしてないですから」

 都市対抗予選でも、日本選手権の本戦でも、佐々木は初回でノックアウトをされた試合があった。ポテンシャルは高くても、投げてみないとわからない。それが佐々木の持つ危うさだった。

 井納翔一(DeNA)などを育成し、名投手コーチとして知られる安田武一コーチからは、こんな言葉をかけられているという。

「去年と同じ結果じゃ話にならないぞ。エースとしての自覚を持って行動しなさい」

 NTT東日本には今年35歳になる年齢ながら、いまだに頼れる存在として投げ続ける大竹飛鳥というベテラン投手がいる。身近な手本から学び、佐々木は脱・ロマン枠を果たすべく奮闘している。

 3月22日、亜細亜大とのオープン戦に佐々木はリリーフ登板した。年明けにヒザ裏に軽症を負ったためわずかに調整が遅れ、この日は今年2度目の実戦だった。

 立ち上がりからボールが暴れる。捕手が飛び上がるような高めに抜けるストレートが頻繁にある一方、ストライクゾーンに入るボールはほとんど打者に芯でとらえさせない。2回を投げて無安打、2奪三振、1四球で無失点。佐々木は「最低限のいい感覚はありましたけど、ボールが上ずってまだ大まかなところで野球をやっている感じでした」と反省の弁を口にした。

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