チームの不祥事で出場辞退も経験。ドラフト候補の今川優馬は不屈の精神を持つ (2ページ目)

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu
  • photo by Takagi Yu

 3月の社会人球界は、年内最初の大きな大会であるJABAスポニチ大会は中止となったものの、ほとんどのチームが活動をできていた。そして、センバツや一部大学の対外試合の自粛の影響もあり、NPB球団のスカウトも多くオープン戦に視察へ訪れ、アピールには持ってこいの環境となった。

 ドラフト指名漏れを経て迎えた社会人1年目の昨年は、都市対抗2次予選で打率.429を残し強豪並ぶ南関東予選で第1代表獲得に貢献した。

 さらに、都市対抗本戦では「自由に打っていいよ」と今川のスタイルに最大限の理解を示す落合成紀監督のもとで「攻撃的2番打者」を務めて、21打数8安打。準決勝の東芝戦では宮川哲(西武ドラフト1位)から逆方向ライトへ本塁打を放つなど大活躍を遂げてチームの初優勝に貢献し、新人賞にあたる若獅子賞を獲得した。
 
 大卒2年目となる今年からドラフト指名の対象選手ともなるため、より強い決意でシーズンに臨んでいる。

 そして「現状維持は退化」と言い切り、都市対抗での活躍に驕(おご)ることは一切ない。都市対抗では一度バットのグリップを真下に落とし、それを戻してから振り出す動作をして活躍していたが、約3カ月後の日本選手権では「よりシンプルに振り出す」というイメージでそれをやめた。

 だがそれが「無駄を減らそうとしすぎて出力が減ってしまった。無駄と思っていたものは無駄ではなかった」と感じ修正。「もっと率を残せるように、シンプルに振り出す」というテーマは変えずに試行錯誤を繰り返している。

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