桐蔭横浜大のドラフト候補「おかわり君2世」は体重113kgで盗塁成功 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 texy by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

「自分の場合は強く振ると案外スイングが弱くなるので、力を抜いて振ったほうがスイングスピードは上がるんてす。あとは体の前でしっかりとらえることを意識しています。体の近くに引きつけて打とうとすると、140キロ後半の速球には差し込まれてしまうので。基本的に、体の前でさばくようにしています」

 プロでも強打者として成功できるだけの素養は十分に備わっている。だが、今の渡部は深い闇の中でもがく日々を過ごしている。

 3月18日の早稲田大とのオープン戦では、ドラフト1位候補の早川隆久と対戦。たった1打席だけの勝負だったが、低めに落ちるスライダーを振らされて空振り三振に終わった。続く打席でも、バットを真っ二つに折られて三塁ゴロと見逃し三振。オープン戦では結果を残せない日々が続いている。

 早稲田大との試合中、ベンチの齊藤博久監督から打席の渡部にこんな声が飛んだ。

「振ってこ〜い! 来たボールをしっかり打てばいいんだよ」

 そのシンプルな声かけの意図を齊藤監督はこう語る。

「相当悩んでいるんですけど、原点に戻ればいいんです。シンプルに来たボールに対して、芯に当てればいいんだと」

 昨年は不振から中軸を外され、6番を打つことも多かった。だが、今年は大学最終年。渡部は「進路はプロ一本」と不振脱出に全力を注いでいる。

 3年間を終えた時点で神奈川大学リーグ通算本塁打は10本。本人は「物足りないし、もうちょっとやれると思う」と語る。齊藤監督も「一線級の投手から打てていない」と不満げで、さらにこう続けた。

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