センバツ21世紀枠、平田高・植田監督の
方針転換は「私立に勝つため」

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Inoue Kota

「出雲で甲子園に出た時は、野手に1番を打った橋本典之(現・慶応義塾大)がいて、投手陣にも原暁、加藤雅彦(ともに関西学院大)の計算できる左右の投手がいました。その時のチームと比べると、個の力が劣っている分、より選手同士の力を掛け合わせていくことが必要になる。出雲時代は"走打連携"と言っていましたが、よりつながりを重視する意味合いで"走打連動"としています」

"攻めの守備"の解説はこうだ。

「野球以外の多くの球技では、ボールを持っている側が攻撃の立場。こちらがボールを持つ野球の守備においても、同じように攻めていく意識が不可欠だと思い、"攻めの守備"を掲げています」

 自身2度目となる聖地での采配についても、こう意気込みを語る。

「最初に夏に出場した時は、県大会が終わってあっという間に初戦を迎えてしまった感覚でした。自分自身が甲子園のことをまったくわかっていなかったし、十分な準備ができなかった。今回は、その時に比べると時間があるので、選手たちの力を十分に引き出せるように準備をしていきたいと思います」

 自分の野球を省みた2014年、野球関連の本だけでなく、小説に触れる機会も増やしたそうだ。愛読書は池井戸潤作品で、「弱者が強者に勝つストーリー。そこがいいですよね」という理由だ。

 不惑を超え、自身の野球を再構築した知将は、「強者を倒す」筋書きを準備し、母校の指揮官として再び甲子園に乗り込む。

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