2019.11.25

騒然の「マトリックス投法」も。
神宮で見つけた地方リーグの個性派たち

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

「握りは人差し指と薬指で挟んで、中指は軽く添えるだけ。握りは高校時代から変えていないんですけど、今までテークバックで右ヒジが下がりがちだったのを上げるようにしたら、よく落ちるようになりました」

 明治神宮大会では初戦の広島経済大(広島六大学リーグ)戦に先発登板。だが、チェンジアップを警戒され、さらに「ストライクからボールになる球を投げたかったのに、最初からボールだった」と制球に苦しんだ。最終的に完投勝利をあげたものの、球数は182球も要してしまった。試合後、中島は「さすがに球数が多すぎて疲れました」と苦笑いを浮かべた。

 課題はストレートの球威だと自覚している。それでも、今年に入ってから体重を約6キロ増やし、「スピードは上がってきています」と手応えを深めている。さらに球威がアップすれば、チェンジアップの効果もさらに増す。

 最終学年に一皮むければ、高速チェンジアッパー・中島はドラフト戦線に名乗りをあげるはずだ。

唐津商時代には甲子園を経験している九州産業大の谷口優成 大会2日目(1116日)、九州産業大(福岡六大学リーグ)対金沢学院大(北陸大学リーグ)の6回裏、マウンドに上がった右腕が投球練習を始めると、にわかにスタンドがどよめき始めた。

 九州産業大の谷口優成はセットポジションから上体を一塁側に大きく反らして投球動作に入る。キアヌ・リーブスも驚くであろう「マトリックス投法」から最速143キロを計測する変則右腕なのだ。

 唐津商(佐賀)時代の3年夏には、エースとして甲子園に出場している。ただし、当時は上半身というより、軸足の右足を急に伸ばす動きのほうが特徴的で「ピクピク投法」「カクン投法」などと言われた。当時、唐津商の吉冨俊一監督は谷口のフォームについて、こう語っている。

「谷口はもともと伸び上がるクセがありまして、伸び上がることを『我慢しろ』と伝えていたのですが、どうしても右ヒザが伸びることが改善できませんでした」

 大学進学後、谷口は自分のフォームを変えようと考えていた。「変則ではなく、自然な形にしたかった」という谷口だったが、九州産業大の大久保哲也監督から「そのままのほうがいい」と助言を受ける。変則フォームを自分の特長として生かすべきだと説かれたのだ。