騒然の「マトリックス投法」も。神宮で見つけた地方リーグの個性派たち (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 赤尾の打球は音からして違う。インパクトの瞬間に大きな爆発音が球場に響き渡る。意識していることは「体のなかで打つこと」。自分の間合いまでボールを呼び込み、赤尾の言葉を借りれば「上半身と下半身で逆の動きをして、雑巾を絞るみたいなイメージ」でスイングする。このスイングを身につけるため、関節の柔軟性や下半身の筋力を高めてきたという。

 存在感を示した初戦とはうって変わって、続く2回戦・慶應義塾大戦では赤尾は3打数0安打2三振と沈黙した。試合後、赤尾は「完全に力負けです」と完敗を認めた。2年前の大学選手権準決勝では立教大にも敗れており、「六大学との力の差を痛感しました」と肩を落とした。

 それでも、赤尾にとっては11月末から愛媛・松山で開かれる大学日本代表候補合宿という勝負の舞台が残っている。報道陣から合宿への意気込みを問われた赤尾は、決然とこう答えた。

「大学ジャパンの4番になることは、大学に入ってずっと目標にしてきたことです。日の丸の4番になった選手が、高い確率でドラフト上位指名を受けてプロに進んでいるのを見てきているので」

 北国の大砲・赤尾は3度目の候補合宿でも、力強いフルスイングでアピールするつもりだ。

高速チェンジアップが武器の城西国際大のエース・中島隼也高速チェンジアップが武器の城西国際大のエース・中島隼也 今春の大学選手権ではベスト8、秋の明治神宮大会ではベスト4と躍進したのは、城西国際大(千葉県大学リーグ)である。立役者はエース右腕の中島隼也だ。

 中島は決して驚くような速球を投げるわけではないが、巧みな投球術で相手打線をかわしていく。とくに効果的なのは、速い球速帯ながら大きな落差で沈むチェンジアップ。もはや大学球界では「中島といえばチェンジアップ」というイメージが定着しつつある。

 千葉市シニア、仙台育英と通じて1学年先輩だった郡司裕也(慶應義塾大→中日4位)と大会期間中に対面した際、中島は「高速チェンジアッパーの中島じゃん」と声をかけられたという。

 チェンジアップは高校3年春から投げ始めたが、空振りが取れるまで威力を増したのは、大学に入ってからだという。

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