なぜドラフト指名漏れ? 大学屈指の
快足野手はプロ入りをあきらめない

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Kikuchi Takahiro

 杉山と望月、ドラフト指名された投手への対抗心があったのか。金子にそう問うと、「はい、ありました」と即答だった。そして金子は、冗談めかしてこう続けた。

「ドラ3とドラ5を打ったんで、僕もプロに入れてくれないかな?」

 試合は二転三転し、白鴎大が10対9で逆転サヨナラ勝ちを収めた。逆襲の火をつけたのは、ドラフト指名漏れを味わった金子の反骨心だった。

 大学卒業後はJR東日本に進み、硬式野球を続ける。もちろん2年後のプロ入りはあきらめていないが、JR東日本は社会人屈指の強豪である。当然、まずはポジションを確保しなければならない。金子は引き締まった表情でこう語った。

JRさんに1回練習参加させていただいて、練習の質と熱がすごかったです。先輩たちに負けないように、食らいついていきたいです」

 ドラフト会議当日、金子は指名がなかったラミレスらと「プロはそんなに甘くないな」と語り合い、4年生たちで居酒屋に向かったという。

 2年後に美酒を飲めるかどうかは、「今後の自分次第」とすでに覚悟を決めている。金子は「すべてにおいてレベルアップしたいです。底上げします」と力強く宣言した。JR東日本の偉大な先輩である赤星憲広(元阪神)のように、いずれ球界に名をとどろかせるスピードスターになる可能性は十分にある。

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