高卒3年でプロを解雇された男の決意。「軟式」からNPB復帰を目指す (3ページ目)

  • 永田遼太郎●文 text by Nagata Ryotaro
  • photo by Nagata Ryotaro

 相双リテックの塚本泰英会長の反応も厳しい。

「僕は、なぜ(プロを)3年で終わったのかがわかりません。一番わかっているのは本人でしょうし、足りないところをしっかりと補う練習をしてきたと思います。でも、今日みたいな結果じゃ無理でしょう。全然ダメです。これじゃ、次の試合は出られないですよ」

 脇本のプロ復帰を誰よりも応援している塚本会長だからこそ、その評価も厳しくなる。2年前、ロッテから戦力外通告を受け、路頭に迷っている脇本に救いの手を差し伸べたのが塚本会長だった。

「高校時代、彼は日本を代表する18人に選ばれているわけです。その後、ドラフトで指名され、ロッテに入った。でも、3年で退団になってしまった。高卒で(プロに入って)、ましてや7位ですから、個人的には3年で結果を要求するのは厳しんじゃないかと思ったんです。しかし、プロの世界はけっして甘いものじゃないですし、なぜ3年で終わってしまったのかを彼自身が考えて、足りなかった部分を努力しなければいけません。また(プロに)戻れるように......そういう思いで、今も見ています」

 脇本は軟式に対応するため、インパクトの位置を変えた。ロッテ在籍時は、打球にバックスピンをかけるためボールの下っ面を打っていたが、その打ち方では軟式だとボールは潰れてしまい、ポップフライになってしまう。そこで脇本は低いライナーや強いゴロを打つイメージで、バットを上から叩くスイングに変えた。

 軟式で150キロ近くを投げるピッチャーに対応するには、バットをレベルで出して、ボールの真ん中を叩く必要があると考えた。そのためには、少々強引でも練習ではバットを上から被せるように出して、意識づけする必要があった。

 使用するバットは、高反発系の金属バットではなく、プロにいた時と同様に木製だが、修正してもらった。

「オーダーしました。できるだけインパクトのところを太くしてくださいと頼みました。長さも(プロで使用していたバットより)1センチだけ短くして、しっかりとらえやすいようにしようと」

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