大阪桐蔭が屈辱の1年をバネに勝利。履正社相手に伝統の粘りを見せた (2ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • photo by Kyodo News

 大阪桐蔭の西谷浩一監督にも「ライバル履正社の優勝が刺激になったのでは......」と聞くと、こう即答した。

「ないです、ないです。夏が長かったので、山にこもってしっかり練習はできましたけど、履正社が優勝したから......というのは何もありません」

 とはいえ、まったく影響がなかったわけではないだろう。

 悔しさを感じた時が、うまくなる時、チームとして強くなる時──西谷監督は、悔しさの生かし方をこれまでの指導経験から心得ている。チームとして味わった悔しさが大きいほど、次にしっかりと結果を残してきたのが大阪桐蔭だ。

 2012年に春夏連覇を果たした藤浪晋太郎(阪神)たちの代は、前年夏の大阪大会決勝でサヨナラ負け。昨年の春夏連覇にしても、その前の夏の甲子園で仙台育英に勝利目前からサヨナラ負けの悔しさを味わっている。

 そういう意味で、新チームがどんな戦いを見せてくれるのか注目していた。前チームから主力として試合に出ている選手が多く、甲子園に出られなかった悔しさは身にしみて感じているはずだ。さらに履正社の全国制覇......。選手の負けん気を刺激しながら、たっぷり鍛え込んだに違いない。

 雪辱に燃える大阪桐蔭、全国制覇で自信をつかんだ履正社、この"大阪2強"がどんな戦いをするのか。1013日に行なわれた大阪桐蔭と履正社の秋季大阪大会決勝戦は、だからこそ、いろんな意味で興味深かった。

 決勝までの戦いは、両校とも全戦コールド勝ち。大阪桐蔭は6試合で80得点、履正社は7試合で93得点と、ともに凄まじい攻撃力で勝ち上がってきた。

 岡田監督は大会中盤、新チームの攻撃力についてこう手応えを口にしていた。

「前チームから主力で出ている選手がいますし、打つことに関しては、みんなよく振れています。バッティングカウントから積極的に打っていく姿勢も、前チーム同様、実践できています」

 前チームから主力として出ている池田凛が1番に入り、小深田大地が3番。4番には阪神で活躍した関本賢太郎氏の息子であり、主将でもある関本勇輔が座る。5番にはチャンスに強いパワーヒッターの大西蓮。ほかにも好打者が並び、つながると止まらない。

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