横浜高の4番手→ドラフト候補。北山比呂は体育大の利点も生かし大成長 (2ページ目)

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu
  • photo by Takagi Yu

「そしたら、そこに向けてグーッとよくなって、新人戦で147キロを出しました」と辻コーチが驚いたように、一気に力を伸ばしてきた。

 飛躍が期待された秋のリーグ戦だったが、試合開始前のブルペンで右肩を痛め、その後はベンチ外となってしまった。明治神宮大会でチームが日本一へと突き進むのを、スタンドで見守るしかなかった。

 この悔しさがきっかけとなり、「ひと回り体を大きくしよう」とウエイトトレーニングやランニングメニューを精力的にこなした結果、冬を越えると球速は150キロ台に到達した。

 こうしたいくつのも事例からもわかるように、北山の成長を支えてきたのは強い探究心や向上心だ。体育大という利点も生かして、授業で学んだことを積極的に取り入れた。

 昨年の松山での代表候補合宿では、雨のために室内のみの練習となったが、他大学の選手にウエイトトレーニングのやり方などを教える北山の姿があった。

 そうした姿勢は日体大でも変わらず、下級生たちからアドバイスを請われることも多い。ただ北山は、強制させるのではなく、あくまで提案という形でアドバイスを送る。

「『こうやったほうがいい』とか『これをやったから正解』とかではなく、『こういう考え方もあって、それでオレはよくなったから、やってみるのもありなんじゃない』という言い方をしています。それを試してみるだけでも、自分の引き出しになるんじゃないかと思います」

 辻コーチは北山について、「負けん気が強いし、練習をこなせる体力もあって、好奇心も旺盛」と評し、それゆえに今後の成長にも大きく期待を寄せる。

「練習する体力は、ほかのドラフト候補と比べてもずば抜けていると思います。走り方がきれいで、足も速く、長距離も短距離も走れる。どんなトレーニングをさせてもできるし、継続できる体力もある。プロでさらに専門的なことを教わったら、高卒投手のようにグンと伸びる可能性はあると思います」

 北山も自身のセールスポイントに「体の強さと体力面」を挙げ、「多くの試合数を投げられる選手になりたいです」と力強く話す。北山に備わる向上心とタフな体。それは、より高いレベルのステージでも成長を支える原動力になるだろう。

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