横浜高の4番手→ドラフト候補。北山比呂は体育大の利点も生かし大成長

  • 高木遊●文 text by Takagi Yu
  • photo by Takagi Yu

 思い切りいい腕の振りから最速154キロのストレートを投じ、変化球も縦横2種類のスライダーにスプリット、チェンジアップを持つ本格派右腕・北山比呂(日体大)。

 昨年12月に、愛媛県松山市で行なわれた侍ジャパン大学代表候補の強化合宿で豪速球を連発。縦のスライダーも面白いように決まり、代表首脳陣はおろか、NPB球団のスカウトからも大きな注目を集めた。

高校時代は控え投手だったが、日体大に進み急成長を遂げた北山比呂高校時代は控え投手だったが、日体大に進み急成長を遂げた北山比呂 今年に入ってからも、松本航(西武)や東妻勇輔(ロッテ)が卒業して抜けた日体大投手陣を、同じくドラフト候補右腕の吉田大喜とともに牽引。春は首都大学リーグで5勝無敗の成績を残し、最優秀投手に輝いた。

 そんな北山だが、横浜高時代は1学年下の藤平尚真(楽天)、石川達也(法政大)、同期の春日井静斗(日本大)に次ぐ4番手投手だった。それでも、渡辺元智監督、小倉清一郎コーチ(ともに当時)の指導を受け、「考え方や知識の引き出しが増えました」と振り返るように、多くのことを学び、吸収した。ピンチでも動じることなく、フィールディングなどもソツなくこなせるのは、高校時代に鍛え上げられた賜物だ。

 高校時代は日の目を見ることは少なかったが、着実に力をつけ、高校3年の夏前に行なわれた日体大との練習試合で好投。北山本人と話をした古城隆利監督は、「向上心が高い」と精神面での頼もしさを感じ、日体大への進学が決まった。

 大学入学後に始めた下半身のウエイトトレーニングも、成長を加速させた。入学当初は上半身の力に頼って投げていたが、バーベルを使ったスクワットなどで下半身を徹底的に鍛え上げ、フォームの安定につなげた。

 入学時から北山を指導する辻孟彦コーチ(元中日投手)は、「体は強かったのですが、不器用なところがありました。でも、2年生の時の新人戦で化けましたね」と振り返る。

 1年秋にリーグ戦で3勝を挙げた吉田を尻目に、北山は対外試合で投げたとしても控え中心のBチームでの試合が中心だった。だが、辻コーチは2年生になる前の1月の時点で、8月の新人戦での先発を伝え、目標を持たせた。

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