阿波の金太郎2世に異色経歴あり。池田高校から18年ぶり指名なるか (3ページ目)

  • 井上幸太●文 text by Inoue Kota
  • photo by Inoue Kota

「秋に負けた川島との試合で、バッターは相手のキャプテン。『絶対負けない、必ず抑えてやる』という気持ちが前に出ていったのがよかったのかなと思います」

 こう話したあと、「でも......、やっぱり実力不足を感じた夏でした」と続けた。

「ずっと球速が伸び悩んでいると感じていて、最速を更新できたのはよかったんですが、まだまだ力が足りないとも思わされました。気持ちの面でも、もっともっと向かっていく姿勢が出ないといけなかったとも思います」

 夏の徳島大会は準決勝敗退。21世紀枠でセンバツに出場した富岡西に打ち込まれ、27年ぶりの夏の甲子園出場の夢は潰えた。

 高校野球引退後も、準決勝の翌日から練習を再開している。取材当日も精力的にウエイトトレーニングに励んでいた。

 指導にあたる監督の井上力(ちから)は、「課題は無数にある」と前置きした上で、白川のポテンシャルの高さを語る。

150キロを投げてもおかしくないものがあると入学直後から感じていました。(2年秋の)故障があって、足踏みの期間がありながらも、最後は146キロ。『スピードガンと勝負するなよ』と常に言ってきて、球質に重点を置くなかでもここまで伸ばせたのはよかった。課題は多くありますが、体の強さがあるのは何よりも魅力。私の指導歴のなかでもナンバーワンの強さがありますし、それだけ将来性、可能性はあると感じます」

 体格や雰囲気から、同校OBの水野になぞらえ、"阿波の金太郎2世"とも呼ばれる。白川本人は「うれしさと同時に『自分がそう呼ばれていいのかな』という思いもある」と語るが、自身も池田の選手として甲子園を経験した井上はどう感じているのか。

「持っている潜在能力でいえば、"阿波の金太郎2世"と呼ばれるのに十分なものがあると思います。けれども、水野さんは高校時代に自身の完成度を高めて、甲子園でも大きな結果を残された。逆に白川は、現段階では完全な未完の大器、原石の状態です。そこを踏まえると、この呼び名はまだ早いのかな......と感じる部分はありますね(苦笑)。ただ、この呼び名が彼のモチベーションになっていたのは間違いないと思います」

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